掲載日: 2025年9月4日 | 掲載誌: Nature
地球の岩石層が貯留できる二酸化炭素の量は2200年頃に限界に達すると試算
地球の岩石層に二酸化炭素を貯留できる実用的な上限は約1,460ギガトンと推定され、この容量は現在の温暖化抑制シナリオのもとでは2200年頃に使い果たされる可能性があるという。地層貯留は大気中のCO₂を数百年から数千年にわたり隔離できる手段として注目されてきたが、この研究で今の所の試算が示された。今回の推定では、環境的に敏感な地域や人口集中地からの距離、政府支援の有無などの制約を考慮した結果、従来より慎重な上限が算出された。この容量の利用によって最大0.7℃の気温上昇を相殺できるという。候補地の約7割は陸上に存在し、ロシア、米国、中国、ブラジル、オーストラリアなど化石燃料大国が高い貯留能力を持つとのこと。著者らは、大規模導入に伴う技術的・制度的課題を考慮していない点を限界とし、各国は必要な貯留量を明示しつつ、排出削減策と併せて戦略を検討すべきだと指摘している。