掲載日: 2025年09月18日 | 掲載誌: Cell Reports
皮膚を引き伸ばすことによる、針なしでのワクチン接種への可能性
Cell Reports に掲載された研究によると、皮膚を伸ばすことで免疫細胞が活性化し、大きな分子(ワクチン成分を含む)が皮膚に浸透しやすくなることが示された。研究チームは吸引圧を用いた装置でマウスとヒトの皮膚を20分間伸展させたところ、コラーゲン繊維が再配列し毛包が開いて、皮膚の透過性が一時的に高まった。さらに24時間後には皮膚内の免疫細胞数が増加し、炎症関連遺伝子を含む1000以上の遺伝子の発現変化が確認された。この仕組みを利用して、インフルエンザワクチンを皮膚に塗布した結果、筋肉注射よりも高い抗体レベルが得られ、アジュバント(免疫増強剤)を加える必要もなかった。著者らは、この「皮膚伸展による免疫経路」が針を使わないワクチン投与法として有望であるとし、将来的には細胞治療や診断応用への可能性も示唆している。ただし多くの実験はマウスで行われたため、ヒトで同様の効果や副作用が生じるかは今後の研究課題であるとのこと。
