火星初期の爆発的火山噴火が、赤道付近への氷輸送を引き起こした可能性
アリゾナ州立大学の研究者らは、惑星気候モデルを用いて約41億〜30億年前に起こった火星の爆発的火山活動をモデル解析し、初期の火星で起きた爆発的火山噴火が、水の氷を赤道地域へ運んだ可能性があることを明らかにした。火山噴火によって放出された水蒸気が寒冷な火星大気で凍結し、氷となって降り注ぎ、3日間の噴火で最大5メートル厚の氷が堆積したと推定される。氷は火山灰や砂塵に覆われることで長期保存され、現在も赤道下に存在する可能性がある。また、研究グループは硫酸の放出による「火山性寒冷期」が氷の蓄積を促進した可能性も指摘している。これらの結果は、赤道域で検出された水素濃度の高さを説明する手がかりとなり、将来の火星探査において氷資源の存在を示す重要な知見になると考えられる。
【論文リンク】https://www.nature.com/articles/s41467-025-63518-8
【掲載誌】Nature Communications
【掲載日】2025年10月14日
