【Horizon Scanning Vol. 2026-4】「米国タバコブランド、自社コンテンツへの若年層アクセス制限ルールを無視」、「東アジア最古の「パーツを組み合わせた石器」

2026年1月30日

【考古学】東アジア最古の「パーツを組み合わせた石器」

中国科学院らの研究チームは、河南省の西溝遺跡から出土した石器を分析し、刃部を柄に取り付けた複合石器の使用が、約16万年前までさかのぼる可能性を明らかにした。これは、東アジアにおける最古の複合石器製作の証拠となる成果。さらに研究チームは、約16万〜7万2千年前のものと思われる2,601点の石器を調査し、切断・削り・穿孔など多様な用途の道具が、複数の工程を経て計画的に製作されていたことも明らかにした。微細な使用痕からは、木材や植物素材の加工に使われていた可能性も示唆された。これらは技術的な革新といえ、同地域で報告されているヒト属の脳容量の増大に関する最近の証拠とも一致している。研究チームは、更新世中期後半から後期にかけて、アフリカや西ヨーロッパに加え、アジアでも人類の祖先が複雑な技術を発展させていた可能性が高いと述べている。

【論文リンク】https://www.nature.com/articles/s41467-025-67601-y
【掲載誌】Nature Communications
【報道解禁(日本時間)】2026年1月28日(水)01:00


【ジェンダー平等】トイレ利用の不平等、全トイレを共用にしても解決されない

女性やLGBTQ+当事者が直面するトイレ利用の不平等を対象に、性自認、待ち時間、安全性を考慮した効用モデルを構築し、トイレ配置の効率性と公平性を分析した結果が報告された。全体効用(功利主義)と最小効用改善・格差(ロールズ的/分配的公平性)で評価した結果、すべてを男女共用にする設計は、直感とは異なり、効率・公平の双方で最適とは限らないことが示された。一方、男性用トイレの一部を共用化する「部分的柔軟性」は、効率と公平性を同時に改善し、場合によっては、男性を含む全利用者に利益をもたらすパレート改善を実現し得るとのこと。研究者らは、数値例と解析により、適度な柔軟性が、完全な共用化を上回ると結論づけている。

【論文リンク】https://doi.org/10.1287/mnsc.2021.04075
【掲載誌】Management Science
【報道解禁(日本時間)】解禁済み


【アレルギー】【子ども】35歳以上の母親の子どもは、アレルギーを発症しにくい

親の年齢と、幼児期のアレルギー疾患リスクについて調べた日本発の大規模出生コホート研究の成果が報告された。全国15地域の出生コホート「Japan Environment and Children’s Study」から3万4,942組の親子データを解析し、親の出産時年齢(特に母親の年齢)が子どものアレルギー発症に与える影響について評価したもの。最新の追跡データを用いた結果、母親が35歳以上で出産した場合、子どもの食物アレルギー、喘鳴(ぜんめい)の罹患率が低く、ハウスダストやダニへの感作リスクも低かった(多変量調整後でも有意な関連あり)。研究者らは、年長の親の、経済的・社会的安定性の高さ、育児リテラシーの向上、子どものアレルギーリスクを減らす環境づくりや行動に起因する可能性を指摘する一方で、観察研究のために因果関係の決定はできず、背景要因の影響も含めてさらなる研究が必要、としている。

【論文リンク】https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2025.54694
【掲載誌】JAMA Network Open
【報道解禁(日本時間)】解禁済み


【インセンティブ設計】【医療】金銭よりも名誉を称える方が献血者が増える

中国の研究者らは、献血者に対して「外来診療の無料利用」などの金銭以外の特典を与える「献血名誉モデル」に、血液の安全性を損なうことなく献血量を増やす効果がある、と報告した。2012~2018年の30省のデータを分析した結果によるもの。同モデル導入後2年で献血回数は3.5%、5年では7.7%増加した。増加の主因は全血献血であり、献血適格率に有意な変化はなかった。因果関係は断定できないが結果は安定しており、他国での血液不足対策として応用の可能性が示唆される。

【論文リンク】https://doi.org/10.1136/bmj-2025-084999
【掲載誌】The BMJ
【報道解禁(日本時間)】解禁済み


【妊娠出産】【遺伝子】流産の主因となる染色体数異常の責任遺伝子を特定

米国とデンマークの科学者らは、流産の主因となる「染色体数の異常(異数性)」のリスクに影響する複数の遺伝子変異を特定した、と報告。卵子形成時の染色体配置異常やDNA組み換え過程のエラーによって生じる異数性と関連する遺伝子として、SMC1B、C14orf39、CCNB1IP1、RNF212などが同定された。

【論文リンク】https://doi.org/10.1038/s41586-025-09964-2
【掲載誌】Nature
【公開日】2026年1月21日


【老化】【子育て】孫育ては脳に良い

英国の祖父母2,887人を対象とした縦断研究により、孫育てを行った祖父母は、記憶力と言語流暢性のテストで高いスコアを示した。特に祖母では、認知機能低下の進行が抑えられていた。研究者らは、「世話をする」という経験そのものが認知機能維持に寄与すると結論づけている。

【論文リンク】https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037/pag0000958
【掲載誌】Psychology and Aging
【掲載日時】2026年1月26日 23:00


【天文学】【暗黒物質】暗黒物質の超高解像度マップ完成

国際研究チームは、ダークマターの重力による光の歪みを解析することで、過去100億年にわたる銀河成長を示す超高解像度マップを作成した。新たなマップは、従来の2倍の解像度を持ち、銀河団やダークマターブリッジを詳細に捉えている。

【論文リンク】https://www.nature.com/articles/s41550-025-02763-9
【掲載誌】Nature Astronomy
【掲載日時】2026年1月27日 01:00


【健康】プラスチック生産による放出物の健康被害、2040年までに2倍以上に

英仏の研究者らは、現行のプラスチック生産体制が維持された場合、温室効果ガスや大気汚染物質による健康影響が2040年までに倍増する可能性を示した。評価は生産段階に限定されており、使用・廃棄段階の影響は含まれていない。

【論文リンク】https://www.scimex.org/newsfeed/health-impacts-linked-to-emissions-from-making-plastics-could-more-than-double-by-2040
【掲載誌】The Lancet Planetary Health
【掲載日時】2026年1月27日 08:30


【タバコ】【ソーシャルメディア】米国タバコブランド、若年層向け規制を無視

米国の主要タバコブランドが、Instagram上で若年層の閲覧制限を回避して自社製品を宣伝していたことが報告された。投稿の約半数が年齢制限なく閲覧可能であり、規制の実効性に課題があることが示された。

【論文リンク】http://press.psprings.co.uk/tc/january/tc059609.pdf
【掲載誌】Tobacco Control
【報道解禁(日本時間)】2026年1月28日 08:30

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