2011318
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計画停電の是非と妥当性について:岩本伸一・早大教授

 

Ver.1.1 (Updated: 110317-15:04)

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計画停電の是非と妥当性について:岩本伸一早大教授コメント

岩本伸一教授(早稲田大学先進理工学部 電気・情報生命工学科 電力システム研究室

 

Q:計画停電しか方法はないのか?

A: これしか方法がない。1000万kWが足らないとということで、需給バランスがとれない。周波数低下問題が起きて停電する。東電の周波数は50Hzだが、周波数制御の目標値はプラス・マイナス0.2Hz、周波数が1Hz以上低下すると、リレーがその周波数低下を検知して、ある段階から負荷遮断が行われる、すわわち停電が非計画的に発生する。この様にならないように、電力会社が、事前周知して計画的に停電させるしかない。

 

Q:昔も電力の供給力不足の問題があったが、適当に需要を減らして対応できた時もあったと思うが?

A: 今回は、足らない発電量が大幅に違う。1000万kWというのは、例えば100万kWの原子力機が10台喪失しているといるのに等しい。需給調整契約や工場の操業停止依頼だけでは、全然十分でない。

 

Q: このような状態がいつまで続くのか?

A: 休止している火力(発電所)を立ち上げ、運転に入れるまで続くと思う。それが、東電が発表した4月末ころまで計画停電が続くということではないかと思う。通常の停止から起動というのでなく、地震による損傷の影響を調べてからの再起動となるので、通常の場合よりかなり時間がかかると思う。ちなみに、東電の火力は設備容量で約60%。

 

Q: われわれに何かできないか?

A: ちょっと考えると、身近にできる事といえば、寒くなっても、エアコンを使わないようにすること。私は、60歳を超えているが、子供の頃はエアコンがなかったので、どの家庭でも10アンペア契約だった。しかし、今は、各家庭、3-4台のエアコンを持っていて、40-50アンペア契約になっている。皆がエアコンを止めれば、かなりの需要が減ると思う。

(カッコ内注記はSMCによる)

 

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専門家によるこの記事へのコメント

  1. ushijima

    あっさりと1000万KWが不足すると結論づけられていますが、本日3月29日、明日3月30日も停電しないとのことです。その根拠も説明不足です。企業の自家発電の総量は、1000万KW以上といった情報も、後出しジャンケンのように出てきます。東電の当事者情報以外に第三機関の情報はないのでしょうか。原子力安全委員会の5人の委員らは、どのような見解をもっているのでしょうか。もっと具体的節電を推し進めれば、停電はしなくてもよいのでは。。具体的な数字が、決定的に不足していると思いませんか。

  2. 中山

    計画停電は、現状においては仕方がないかなと個人の主観で考えます。但し、幾つかの選択を消費者に求めることはできると思います。
    1.長期化するなら一週間とかで停電区域を固定しては如何でしょうか、毎日の地域変更は社会の生産性を阻害します。公平にしてほしい意見については、その区域のついて料金を軽減する方法もあります。逆に、常時給電される地域等については料金を上げる。
    2.各家庭ごとに節電が行える「節電継続器」を設置するのは如何でしょうか。節電時間帯を設定できる装置です。現状の技術レベルで可能です。最低1時間前に停電を警告する装置を組み込む必要がありますが。この装置を取り付けた家庭の電力料金割引は可能と思います。
    3.電車の運行停止に関する私的考察
    踏切のある停電地域においても架線に電力が供給できるならば、架線から踏切の遮断機の電力を供給することは可能だと思います。直流1500Vから交流の200V、100Vを作ることはできます。但し、電車の接近、通過、商用電力との切り替えなどはそれなりのノウハウが必要と考えます。このような装置は、リスクマネジメントの範囲と思うのですが列車の運行再開がなされていない路線があるという状況では残念でなりません。架線に電力を供給する変電所を改造する必要もあるかと思いますが、運行スケジュールを間引きすることで可能かと思います。
    4.電車運行に関する私的考察
    数年前からおおくの電車は、止まるときに回生エネルギーを架線に戻すようになっていて省エネ電車と知らされています。ですが、その運行スケジュールにおいて発進と停車をその変電所区間内において調整されているのでしょうか。複数の電車が同時に停車すると回生エネルギーによる架線の電圧は上昇します。この電圧が過剰にならないように変電所で熱として捨てられていると言うことがネットで書かれていました(数年前)。ここで、架線電圧が上昇したときに、駅舎内でその電力を照明に使えないでしょうか。理論的には可能ですし太陽光発電で余った電力を電力会社の送電線に供給する機器があるので、実現できます。
    社会的な影響の考慮を以下に記します。
    1については、関西電力、大阪ガスが4月から原材料の高騰を受けて値上げするようです。東京電力も料金の値上げが必要と思われますが、2011年3月25日の現状からは難しいでしょう。でも、値上げすることで節電につながることは否定しません。節電に協力する家庭は現状の料金に据え置くと言うことも選択肢に含まれます。
    2については、自宅を停電にしてもデパート、図書館とかに避難することもできますし、たぶんそうするでしょう。この辺の解析は心理学者に任せます。
    3、4については、公共交通を請け負う会社として過大な設備投資が必要かもしれませんが今後の改善を望みます。

    とりとめのない意見ですが、復興を目指す方法としてのたたき台と思うのでコメントしました。

  3. odspecialist

    計画停電の影響はのりしろの小さな中小企業、飲食業者にでてきています。大幅な省エネのために以下を提案したい。
    企業向けには総量規制を発動する。そのために輪番でNHK,民法の停波。昔は昼間は放送したいなかったのだから、なくても困らない。地上波はおなじような内容の放送で重複が多い。
    一般住宅、公共交通機関では照度を現状の30%下げる。昔は、こんなに明るくなかったはず。駅、ホームの照明は、明るすぎます。
    ワンルームマンションにおいて、50Aの契約は、20Aに。ブレーカーが落ちないように気をつけて使えば、20Aでも十分エアコンまで使うこと可能です。30Aでは、ピークカットの削減効果は低いと思います。一般住宅でも20A契約にすること可能と思います。

  4. ich

    緊急避難的な措置としては、計画停電もやむを得ないと思いますが、いまの方法では事業者への影響が大きすぎます。家庭と違い、生産ラインを停止/再稼動するにも時間がかかり、停電時間以上に影響が発生します。
    長期化するのであれば、やはり需要者側で電力量を低減する方向で調整する方法を取ってもらいたいところです。

  5. YAMASAKI

    計画停電しか方法がない、と断言されていますが、そもそも1000万kw足りないという前提が恣意的なものではないでしょうか?
    各所が所有する自家発能力を積算すると足りないと言われる数値にかなり近いとも聞いたことがあります。あとは大口需要事業所に順次休業あるいは上限設定するとか。
    節電に向けた国民の意識改革には非常に有効でしょうが、原発がないとこんなに大変なんですよ、原発推進も仕方が無いでしょ、という刷りこみを狙ったいやらしさを感じるのは、ひねくれ過ぎでしょうか・・・

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