2012614
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専門家コメント

CTスキャンが子どもの白血病や脳腫瘍を高める可能性について

 

Ver.1.1 (120716-17:30)

・これは、2012年6月6日にジャーナリスト向けに発行したサイエンス・アラートです。

・記事の引用は自由ですが、末尾の注意書きもご覧下さい。

・このサイエンス・アラートは豪日交流基金(Australia-Japan Foundation)からの支援をいただき、作成されたものです。

<SMC発サイエンス・アラート>

CTスキャンが子どもの白血病や脳腫瘍を高める可能性について:専門家コメント

 CTスキャンの放射線は、子どもの白血病や脳腫瘍の危険性を3倍高める可能性があると英国の研究チームが発表。子ども時代に頭のCTスキャンを受ける子どもは、2、3回程度の電離放射線を浴びることで脳腫瘍の危険性が3倍に、5回から10回程度の電離放射線を浴びることで白血病になる危険性が3倍になる。しかし、絶対リスクは低い。10歳未満の子どもが初めてCTスキャンを受けると、10年後に白血病になる子どもと脳腫瘍ができる子どもの数は1万人に1人と推定されている。論文は6月7日付けのLancetに掲載される予定。

原著論文:

Pearce et al. (2012) Radiation exposure from CT scans in childhood and subsequent risk of leukaemia and brain tumours: a retrospective cohort study. The Lancet
Lancet誌当該論文へのリンク
 

ブルース・アームストロング 教授(Professor Bruce Armstrong)

東オーストラリア・シドニー大学公衆衛生学部
Professor of Public Health, Sydney School of Public Health, University of Sydney and a Senior Advisor for the Sax Institute

 若い人はCTスキャンによって高レベルの電離放射線を浴びると白血病や脳腫瘍のリスクが高くなることは、意外なことではありません。電離放射線が癌の原因である事は前々から知られていることで、今回の研究はその結果と一致しています。

 今回の研究は、CTスキャンは、非常に強い医学的理由があるときにしか使用しないことと、使用するときは患者に対しては必要最低限の放射線を使うことの重要性を強調しています。

【コメント原文】

“Material increases in risk of brain tumour and leukaemia in younger people exposed to higher accumulated levels of ionising radiation from CT imaging are not unexpected and entirely consistent with what has been known for a long time about the cancer causing effects of ionising (nuclear) radiation.

This work emphasises the very great importance of only using this form of imaging when it has a strong medical justification and in doing so in ways that minimise the amount to which the patient who is being imaged is exposed to the radiation needed to produce the required images.”

 

【関連リンク】

アームストロング教授は、癌と電離放射線に関する情報が必要なジャーナリストに以下の資料を勧めています:

WHOの国際癌研究機関が出した「ARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans Volume 100D (2012) A Review of Human Carcinogens: Radiation 」(341ページ、英語)

http://monographs.iarc.fr/ENG/Monographs/vol100D/mono100D.pdf

 

 

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