2013119
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専門家コメント

シェールガス採掘の健康影響について

 

Ver.1.2 (131107-23:00)

・これは、2013年11月6日にジャーナリスト向けに発行したサイエンス・アラートです。

・記事の引用は自由ですが、末尾の注意書きもご覧下さい。

<SMC発サイエンス・アラート> 

シェールガス採掘の健康影響について:専門家コメント

シェールガスは新たなエネルギー資源として期待されていますが、一方でその採掘時の環境への影響はよくわかっておらず、現在も研究評価が続けられています。

10月31日、イギリス公衆衛生局(Public Heath England; PHE) は、シェールガス採掘が公衆衛生に与える影響について、調査報告書の素案をまとめました。報告書は採掘に伴い発生する化学物質や放射性物質の健康影響を検討した上で、これらの影響は小さいと結論づけています。また、他国で報告されている環境への影響についても作業時のミスによると分析しています。

 

報告書素案:「シェールガス採掘にともない排出される化学/放射性汚染物質による潜在的な公衆衛生上の影響評価」
Public Health England, "Review of the potential public health impacts of exposures to chemical and radioactive pollutants as a result of shale gas extraction", 2013,  <www.gov.uk/phe> (Retrieved 6.11.2013)

PHEの報告書素案に関するプレスリリース
Public Health England, 'Shale gas extraction emissions are a ‘low’ risk to public health', (31.10.2013) <www.gov.uk/phe> (Retrived 6.11.2013)

 

この報告書素案をどう評価するのか、以下の日本と英国の専門家からコメントをいただきました。

#英国SMC発のコメントについては、正確さより早さを優先して要約しています。元コメントを確認のうえ、必要ならば自由に訳し直してご利用ください。

大場 紀章 (おおば のりあき) 研究員

株式会社テクノバ 

(化石燃料供給、エネルギー安全保障を調査研究をされている立場からコメントをいただきました)


今回の報告書はエネルギーや環境系の機関ではなく、PHEという英国政府の保健関係機関がシェールガス採掘に関する健康評価を出しているということが珍しい点です。レビュー報告書ということもあり結論は過去の他の研究レポートと同様に「環境リスクは低い」というもので、それ自体に新しさはあまりありません。シェールガス開発の初期から、シェールガス開発特有の技術自体の不可避な問題ではなく掘削活動のミスや問題があった場合のリスクが指摘されてきました。つまり技術的・社会的に制御可能であり、規制や監視が重要という事です。

一方、放射性物質への言及が多いという点は、この報告書の特徴と言えるでしょう。このレポートで主に指摘されている放射性物質は、人工的に付加されたものではなく地中に元々含まれているラドンやラジウムといった放射性物質が、掘削活動によって地表に出てくるというものです。この種の放射性物質はシェールガスの採掘に特有のものではなく、石油ガス採掘自体が持っている環境への影響といえます。

これらは一般的にそれほど高濃度のものではなく、過去の石油ガス開発の歴史のなかでも具体的な健康被害との因果関係はないと言われています。

他に、天然ガスの主成分であるメタンや、シェールガス開発で用いられる化学物質が水資源や大気を汚染するリスクについても述べられています。しかし、これらのリスクと健康被害との因果関係についての研究も殆どありません。従って、過去のレポートをレビューした今回の報告書では、シェールガス開発に伴う健康被害についてはっきりしたことは言えていません。

今回のレポートで扱っていない問題としては、健康評価の観点から直接関係は無いのですが、掘削時に漏れるメタンによる気候変動の議論があります。また、掘削に伴う騒音による健康被害、地震の誘発、水資源の持続可能性、掘削地域付近の交通量増加に伴う排気ガスの増加やコミュニティに対する影響、美観への影響も触れられていません。特にフランスでは、観光地とシェールガスの埋蔵地域が重なっているため、景観が問題になっているようです。一方、イギリスやアメリカでは地震の誘発が話題になっていました。

加えて、今回あまり触れられていないのは排水の問題です。過去、アメリカでは水圧破砕に用いた排水をそのまま河川に流していた例があります。一般には地下に圧入して廃棄されています。地震はこの課程で発生します。しかし、近年は採掘業者の自己規制で、排水の再利用や浄化も一部行われ始めているようです。実は、報道で注目されることの多い水圧破砕による掘削時よりも排水時の環境問題の方がリスクが高いと言われています。

日本の企業でシェールガスに関わっているのは商社が主で、掘削活動を直接執り行っているわけではありません。しかし、今後シェールガスに対するネガティブな評価が高まることを懸念して、シェールガス関連事業への進出を躊躇している企業も見られます。

 

半澤 彰(はんざわ あきら)主任研究員

一般財団法人 石油エネルギー技術センター 

今回のPHEの報告書は、冷静で客観的なものであると思います。現在知り得ているデータから見る限り、健康への影響に対する結論も概ね妥当と考えられます。イギリスでのシェールガス採掘は実例数が少ないため、今回の報告書では、北米、特にアメリカでの事例が参考にされています。同地域でのこれまでの議論や検証努力の結果を反映しているとの印象を受けました。評価に伴いがちなハロー効果やステークホルダーによって異なるバイアスがかかり得ることを踏まえた上で、報告自体の守備範囲を明確にしている点も、慎重なアプローチで好感がもてます。

「オペレーション上の過誤や管理体制上の不備がなければ、すなわちオンサイトでの適切な操業管理がなされている限り、シェールガス採掘の公衆衛生に与え得るリスクは低い」との趣旨の指摘は、米国でも幅広く共有されていると思います。米国でシェールガス採掘が本格化してから久しく、また在来型の天然ガスと比べて掘削坑井の数も多いにも拘わらず、これまでフラッキングと環境汚染の因果関係は実証されていないものと理解しています。

この先ブラックスワンが発見される(=従来の仮説の反証が出てくる)可能性はゼロではないかもしれませんが、今回のPHE報告書も提唱しているように、例えば米国の”FracFocus“(注1)のような情報公開や研究継続を通じて、最適の対策を講じていけば、市民や関係者の懸念を減じていくことができるのではないでしょうか。

 

(注1)Ground Water Protection CouncilInterstate Oil and Gas Compact Commissionが共同で運営する、フラッキングに関する情報提供ページ。http://fracfocus.org/

 

長縄 成実  (ながなわ しげみ) 助教

東京大学  大学院工学系研究科 エネルギー・資源フロンティアセンタ

(今回のPHEからの報告について、掘削工学の専門家としての立場からコメントをいただきました)

 

掘削工学は、石油工学という分野のなかのひとつの学問です。石油や天然ガスなどの地下資源を掘る際、深い井戸を掘る必要がありますが、その井戸の掘り方や安全管理についての研究になります。

今回のPHEの報告について一言でいえば大変評価できる内容になっていると思います。採掘ではきちんとした監視が必要で、そのためのコストや技術が必要になります。今回の報告書では放射性物質についてもふれていて、その点とても細やかなところまで目が行き届いているといえます。

今回報告書で触れている放射性物質は、天然の地下に埋まっている放射性物質が採掘したシェールガスと共にでてくる事をさしているようです。シェールガスに関わらず、石油や天然ガスなどの採掘の際にも放射性物質がでてくる可能性はありますが、自然界に存在するものと全く同程度の低いレベルです。シェールガス採掘に使用しているフラクチャリングで放射性物質をつかっているという事ではありません。シェールガスに関わらず、掘削の途中で坑内の検査のため、人為的に放射線を使うことはありますが、これはちゃんと法規制に則り、きちんとした管理下で行われています。

日本の採掘は通常は鉱山保安法をもとに行われています。日本国内にシェールガスの資源量はほとんど確認されていませんが、今後日本で同様の方法によるシェールオイルの採掘がはじまるとしたら、この鉱山保安法でカバーしていないフラクチャリングやフラクチャリング流体、フローバックしてきた水の処理についての指針を、経済産業省で検討していく可能性があります。その際には、今回のPHEの報告のような世界各国の取組みを調査して、国内でどう取り上げていくかを考えなくてはなりません。規制については、最近は法律で数値基準をきめるのではなく、操業者がリスクアセスメントを作成し自主規制をしていくという流れになってきています。

シェールガスについては、北米では開発が進んでいますが、ヨーロッパでは環境問題などがネックとなり、開発はまだ始まっていません。北米ではシェールガス採掘現場の周辺で、フラッキングが原因で地震が増えたとか、メタンガスが地下水に混入し、水道の蛇口から火がでたなどの報道もありますが、どこまでがシェールガス開発の影響なのか、どこまで正しい情報なのかははっきりとはわかっていません。どの情報が正しいのか、一般の人もふくめて考えていかないと、せっかくのいい資源を使えなくなってしまうということも考えられます。

そういった意味でも、今回のPHEのように、きちんとスタディして出てくる報告書はとても評価できます。

 

森田 信男(もりた のぶお)教授

早稲田大学総合理工学部、岩盤・石油生産工学研究室

(アメリカで大手石油会社に在籍され、150以上のガス油田に携わった経験をお持ちです。今回は現場をよく知っている専門家としてコメントをいただきました)

 

米国のシェールガス開発・生産に対する健康被害について多くは国民の技術に関する無知から騒ぎ立てている問題が多く、この報告書のように、実際にはそれほど安全性に問題はない。しかし、米国ではシェールガス・オイル開発には、技術の無い小さな石油ガス生産企業が参入したため、やはり開発にはある程度の規制が必要であることを示唆している。

事故がおきるとしたら、その原因は次の3つに絞られる。

(A)水圧破砕(Hydraulic Fracturing)は、大量の水圧破砕流体を地下の頁岩貯留層に圧入するため、フラクチャー(注1)が上部の地下水源の近くまで達し汚染する可能性がある。

これを防ぐには

圧入層の上層部には、ある程度の高地圧層が存在する。そのため、フラクチャーが水圧破砕中上層部の地下水源層まで到達しないことが望ましい。

しかし、高地圧層の存在が不確定な場合には、坑内の上層部にフラクチャー先端から発するノイズを受信する受信器を坑内に設置し、水圧破砕中フラクチャーがどこまで進展しているかモニターする必要がある。モニターしてフラクチャーが予定より上部に進展している場合は、圧入圧を降下させるか、これ以上の圧入を断念する必要がある。

水圧破砕中のフラクチャー進展モニターは、通常の石油企業では日常的に行なっている。ところが、小規模の技術者が少ないガス開発企業では、そうした最小限のモニターを行なわなかったため、地下水源を汚染した場合がある。したがって、ある程度の規制は必要である。

(B)米国・英国にはすでに廃棄した古い坑井が多くあるが、水圧破砕によってそのような廃棄した坑井につながり、廃棄坑井のシールを破壊し、廃棄坑井から地下水源を汚染する可能性がある。

これを防ぐには

現在までに米国、英国では、陸上にて小規模の油田ガス田が、多く開発・生産・破棄されてきた。したがって、新開発企業は、その位置を古い資料から確認して、水平掘削・水圧破砕を行う必要がある。

また、場合によっては、廃棄した坑井を再仕上げ・再廃棄改修する必要がある。

(C)ケーシング(注2)と地層間の環状部セメンチングの不慮による漏洩

漏洩事故で一番難しい問題は、ケーシングを地層に固定するセメントにはじめからチャネルができている不良セメンチング、生産中の圧力変化・温度変化によるシール力劣化に原因する問題である。

これを防ぐには

セメントボンドログ(注3)でセメンチングが正しく行なわれたのか確認、もし正しく行われていなければ、セメントの再注入を行う。

漏洩が起こりにくい、膨潤性シール剤、セメンチング用シールパッカー等を使用する。

生産中ケーシング・地層間の環状部の圧力上昇のモニターを行う。圧力漏洩が発見されたら不良箇所の改修を行う。

坑井廃棄は規制に基づいて正しく行う。

一般的に、日本国内のシェールオイル、シェールガス開発には、技術のある石油資源(株)、JX石油開発〈株〉が行なっており、上記の規制は守られている。また鉱山法により、生産時・廃坑時の基本的な規制は課せられている。

日本全域にわたってシェールオイル・シェールガス貯留層があるわけではなく、技術・環境問題にうとい小企業が開発に参入する機会は少ない。また海外のシェールオイル・シェールガス開発に際しても、通常の油田・ガス田を開発している、石油開発企業が参入しているので、基本的な開発に関する規制の知識は十分あり、また技術面でも十分な体制で臨んでいる。この報告書は結果的にはシェールガス・シェールオイルの開発に際しても、通常のガス田・油田開発の規制・技術を用いれば漏洩問題は起きないことを示唆しており、この報告書の影響は無いと思われる。

 

(注1)岩石の割れ目をなしている孔隙部分のこと。原油や天然ガスはこのような孔隙部分に存在する。

(注2)掘られたままで地層が露出している坑井に鋼管などで内枠をつけること。

(注3)ケーシングと地層間を固定しているセメントがきちんとケーシングに膠着しているか音波などで測定し、記録・監視すること。

 

 

米原 英典(よねはら ひでのり)博士

放射線医学総合研究所放射線防護研究センター規制科学研究プログラム プログラムリーダー

(ラドンと自然放射能について、専門に研究しているグループのプログラムリーダーをされています。今回はシェールガスに含まれる放射性物質の影響について専門家としてのコメントをいただきました)

 

報告書の評価

今回のPHEからの報告には、内容的には概ね妥当なことが書いてあります。ラドンと自然放射性物質(NORM)(注1)について、施設周辺住民とシェールガスプラントで働く労働者の被ばく状況を考察しており、住民については、問題がないレベルと予想されるが、労働者にはある程度の被ばくの可能性があるとしています。ただ、これまでの米国や英国での一部の環境の測定結果から判断して被ばく線量はそれほど高くないとしており、これは私たちも同様に考えています。

原油やレアアースなど地下資源にはNORMが含まれていますが、シェールガスもその例外ではなく、場所によっては高濃度のNORMが含まれています。この中で一番問題なのは、NORMの一つであるラジウムから散逸する放射性ガスのラドンです。普通の家でも床下の地面からラドンが放出されて、室内に入ってくるということで社会問題になっており、特に寒い地域、北欧などでは室内のラドン濃度が高くなります。その結果、肺がんが増えているという研究結果があります。

シェールガスは地下の深いところに水を注入して採取しますが、その際、逆流して地上に戻ってくる水に含まれるラドンガスが大気中に拡散し、それが密閉された空間で高濃度になる場合が問題となります。ただ、密閉したところでたまらなければ大気中に拡散して希釈されるためラドン濃度は高くならず、被ばくは問題になりません。つまり周辺に住む一般住民のところではラドンは希釈されているため、被ばくの程度は問題になりません。問題になるとすれば、シェールガスを採取するプラントでラドンが高くなる場所があれば、労働者の被ばく問題になります。

 

問題点、追加で求める調査

先ほど述べたように、プラントではラドンが濃縮される可能性があるのですが、今回の報告書では、実際にすべての箇所についてラドンの濃度計測をしているわけではないでしょう。これが一つの問題点だと思います。ラドンというのは局所的に濃度が高くなる可能性があるので、実際に計測しないと被ばく影響について保証はできません。そのため、今後、それぞれの施設でラドン濃度を実際に調べる必要があります。

 

日本における類似の取り組み(シェールガス開発の環境影響評価)について

日本の場合はシェールガスの資源量があまり期待されておらず、メタンハイドレート(注2)の試掘の方が進んでいます。シェールガスはかなり広い範囲で埋蔵がないと採算が合いません。米国、中国、カナダなどで資源量が多いとされ、特に米国では実用化されています。日本はこれを輸入しようという動きになっており、シェールガスの採掘はあまり進んでいないといえます。そのため、特にシェールガス開発によるNORMの環境影響評価も進んではいません。

 

日本の取り組みに与える影響

シェールガスの採掘が進んでいない日本では、この報告書はあまり大きな影響はないかと思います。ただし、開発を進めるにあたっては、施設によってはNORMの濃度が高くなるところが出る可能性があるので、労働者の被ばく問題を考慮する必要がありますが、たとえ濃度が高いとしても放射線防護の管理をしっかりすることにより被ばくは問題ないレベルになります。その意味でも、このPHEからの報告書は妥当といえます。

日本では人工放射性物質の規制は厳しいのですが、NORMは規制の対象になっていません。核燃料物質であるウランなども、ある程度濃度が高く、また取り扱いの量が多くなれば規制の対象になっていますが、濃度が低ければ日本では規制の対象になっていません。現在のところは文科省が出したガイドラインはありますが、法律では規制されていません。

今後はシェールガスから副産物として出てくるNORMを含めて、NORMの様々な産業利用について日本でも規制を考えていく必要があります。国際基準として国際原子力機関(IAEA)では1Bq/gを超えるものは規制すべきだと言っており、韓国ではすでにNORM規制の法律が施行され、欧州共同体でも来年ぐらいに統一基準が出されます。このような動きを受けて、シェールガスから排出するNORMも規制対象になる動きがでてくると思います。法律規制ができると、NORM濃度が高くならないようにしたり、労働者の適切な被ばく管理をしたりしなくてはならなくなるでしょう。国際的動向をみながら、日本もNORMの規制について検討を始めなければならないと思います。

 

(注1)NORM:自然起源放射性物質(NORMNaturally Occurring Radioactive Materials ノルムと呼ぶ)。地球生成時から存在している自然起源の放射性核種を含む物質であり、半減期の長いものが現在も地殻にも残っている。ウラン238、トリウム232など)

http://www.nirs.go.jp/db/anzendb/NORMDB/1_NORM.php (Retrieved 6.11.2013)

(注2)メタンハイドレート

メタンなどの天然ガスが水と結合して水和物となってできた固体の結晶で、海底下の地層中に封じ込められている。シェールガスとともに新しいエネルギー源として期待されている天然ガス資源の一つ。

 

 
 

スチュアート・ヘイゼルディン教授

エディンバラ大学、堆積地質学
Professor Stuart Haszeldine, Professor of Sedimentary Geology, University of Edinburgh

(英国SMC提供)

PHE報告に記載されている物質は、すでに北海の石油・ガス採掘でも処理されているものであり、すでに処理方法はある。ただ、政府はシェールガスの採掘前に、地下水の分析をするべき。

 

【コメント原文】

“The PHE report on contamination is well balanced, and rightly points out that drilling and production of fluids from underground can also produce a range of natural pollutants in dilute form.  The substances listed are no different to those already handled during North Sea oil and gas exploitation, so the technology exists to cope. Challenges for Government are to ensure high quality analysis of groundwater before shale gas drilling commences – that may require specialist shallow sampling boreholes. Also to ensure that the UK has enough inspectors to ensure that strong rules are adhered to. The University of Edinburgh is already developing robust baseline monitoring to detect any shale gas contamination in groundwaters.”

 

 
 

クェンティン・フィッシャー教授

リード大学、石油地球工学
Professor Quentin Fisher, Professor of Petroleum Geoengineering ,University of Leeds

(英国SMC提供)

別の研究でも、フラッキング自体が地下水の汚染の原因ではないことを示唆している。シェールガス採掘における主なリスクは、汚染物質が地表面からの流出することとボーリング孔に沿って漏れだすこと。イギリスでは陸上での大規模な採掘計画が無いため、アメリカよりも安全に採掘できるだろう。

 

【コメント原文】

“This is yet another study suggesting that contamination of the groundwater due to the hydraulic fracture process itself is unlikely. The two main risks identified are surface spills and leakage along boreholes. These risks can be dramatically reduced by the development of a robust regulatory framework. I think it’s particularly important for the public to understand that leakage along boreholes is far less likely in the UK compared to the USA because we have never had a large onshore petroleum development program so pre-existing boreholes close to the shale gas resources are not a significant issue. Overall, the report provides even more evidence that production of gas from shale can be made very safe.”

 

 
 

リチャード・ディヴィス教授

ダラム大学教授、ダラムエネルギー研究所ディレクター
Professor Richard Davies, Professor and Director of Durham Energy Institute, Durham University

(英国SMC提供)

今回のPHEの報告はシェールガスの採掘では、漏れチェックや監視体制が重要であるという重要な側面を指摘するものである。1902年以降、英国では50%の採掘孔が埋め戻され、採掘した会社もすでに存在していない。これは監視が容易ではない事を示している。

 

【コメント原文】

“Public Health England has highlighted a critical aspect in the debate around shale gas extraction, namely that checking for well leaks and monitoring of shale gas sites is important. Of the 2,152 wells drilled onshore in the UK since 1902, approximately 50% are buried and therefore not easily monitored, and 1,138 were drilled by companies that no longer exist. If the rocks are suitable and the UK presses ahead, then well integrity is an area that we will need a great deal more focus.”

 

 
 

ピーター・スタイルズ教授

キール大学、地球物理科学
Professor Peter Styles of the School of Geographical and Physical Sciences at Keele University 

(英国SMC提供)

シェールガスの採掘が公衆衛生へ与えるリスクがとても低いことを報告するPHEレポートはとてもタイムリーで歓迎。しかし、これは強固なモニタリング実施の重要性、化学的利用について十分な一般公開、そして研究継続の必要性を強調している。

 

【コメント原文】

“I welcome this timely report from Public Health England which emphasises the very low risk to public health posed by shale gas extraction but which stresses the importance of robust monitoring protocols, full public disclosure of chemical use and the need for continuing research.”

 

 

関連リンク

●日本エネルギー研究所 地球環境ユニット 小川順子

シェールガス環境影響シリーズ~その1:シェールガス開発に伴う環境影響を鳥瞰する~

http://eneken.ieej.or.jp/data/4940.pdf

 

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