2015530
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専門家コメント

低タンパク質・高炭水化物食によるダイエット

・これは、2015年5月29日にジャーナリスト向けに発行したサイエンス・アラートです。

・記事の引用は自由ですが、末尾の注意書きもご覧下さい。

<SMC発サイエンス・アラート>

低タンパク質・高炭水化物食によるダイエット:専門家コメント

オーストラリアの研究グループは、マウスに低タンパク質高炭水化物(LPHC)の餌を与えたところ、カロリーを40%制限した時と同様の効果(インスリン感受性の改善や寿命の延長)が得られたとする研究成果を発表しました。カロリーを制限したマウスに比べて、LPHC食のマウスはエネルギー消費量が高かったとのことです。論文は、29日のThe Cell Reportsに掲載されました。この研究に対する専門家コメントをお届けします。

 

【論文リンク】

‘Dietary Protein to Carbohydrate Ratio and Caloric Restriction: Comparing Metabolic Outcomes in Mice’Samantha M. Solon-Biet et al., The Cell Reports.

http://www.cell.com/cell-reports/abstract/S2211-1247(15)00505-7

 

伊東宏晃 センター長、病院教授

 浜松医科大学附属病院周産母子センター

 これまでの齧歯類などを用いた動物実験により、ヒトが生涯にわたって摂取エネルギーを30%から50%減らすことで寿命が延長し、糖や脂質の代謝が改善される可能性が報告されています。しかし、現代社会において、一生を通じて摂取エネルギーを30%から50%減らし続けることは容易ではありません。そう考えると、マウスにおいて、好きなだけエネルギーを摂取しても、食物が低タンパク質・高炭水化物の組み合わせであれば、エネルギー摂取制限するのと同程度の健康長寿を得られる可能性が報告された点は、大変興味深いと思います。

 懸念される点は、8週間の餌の調節の後、16週齢における一時期だけで評価していることです。さらに、「低タンパク質・高炭水化物の餌を好きなだけ与えた群」と「餌の種類に関わらず40%のエネルギー摂取制限を行った群」は、糖や脂質の代謝においては同程度の改善がみられたとしていますが、エネルギー消費量は低タンパク質・高炭水化物を自由摂餌した群でのみ上昇したとされ、代謝の調節に明らかな違いが出ています。このことは、両群の代謝制御がそれぞれに異なるしくみで変化した可能性が高いことを示しています。そう考えると、健康寿命を考える場合、16週齢における両群の代謝が、そのまま生涯にわたった安定して保たれるかどうかは疑問です。例えば、12ヶ月齢になった時点で両群の代謝傾向が同じであるか、寿命そのものが同等に改善しているのかなどを確かめることが必要かと思います。

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