2016416
各専門家のコメントは、その時点の情報に基づいています。
SMCで扱うトピックには、科学的な論争が継続中の問題も含まれます。
新規データの発表や議論の推移によって、専門家の意見が変化することもありえます。
記事の引用は自由ですが、末尾の注意書きもご覧下さい。

専門家コメント

熊本、大分で相次ぐ巨大地震について

・これは、2016年4月16日にジャーナリスト向けに発行したサイエンス・アラートです。

・記事の引用は自由ですが、末尾の注意書きもご覧下さい。

<SMC発サイエンス・アラート>

熊本、大分で相次ぐ巨大地震について:専門家コメント

4月14日の夜間に熊本県益城町を中心に最大震度7(M6.5 )の地震が発生し、震度6クラスの強い余震が続いていましたが、本日(16日)未明には同県阿蘇地方で最大震度6強(M7.3)の地震が発生しました。一連の地震について、時系列でまとめた専門家コメントをお送りいたします。
 

2016年4月16日午前9:00時点での見解を集約しています。随時更新される情報や,新たに見えてくる情報にご注意ください。

大木 聖子 准教授

慶應義塾大学 環境情報学部

時系列まとめ

·九州は普段は地震活動が少ないが,活断層は多くあることが知られており,政府から公表されている.

http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/kyushu-okinawa/kyushu-okinawa.htm (地震本部HP)

·14日のM6.2(USGS)の地震はこのうちの,日奈久断層帯(Hinagu Fault Zone)で起きたと考えられる.

http://maps.gsi.go.jp/#11/32.722887/130.666580/&base=std&ls=std%7Curgent_earthquake_20160414kumamoto_20141114_20160415_u06l%7Ctoshiken_katsudansouzu%7C20160414eq_shinou&disp=1011&lcd=toshiken_katsudansouzu&vs=c1j0l0u0f0&d=v (国土地理院HP)

→日奈久断層の全部ではなく,北西一部(高野-白旗区間)と考えられている.(地震本部の地震調査委員会の見解)http://www.static.jishin.go.jp/resource/monthly/2016/2016_kumamoto.pdf

·14日の地震の特徴として,余震活動が多く,また,規模が大きめであることが挙げられる.

 http://www.jma.go.jp/jma/press/1604/15g/kaisetsu201604151530.pdf(気象庁報道発表資料.随時更新)

· 16日1:25(JST)にM7.0(USGS)の地震が発生.規模の大きさから,これは余震ではなく別の新たな地震の発生.

→ 余震活動の分布から,布田川断層帯(Futagawa Fault Zone)で発生したと考えられる.

→その後,震源は大分県の別府湾まで伸びていることから,別府-万年山断層帯(Beppu-Haneyama Fault Zone)にも続いていると考えられる.

http://www.jma.go.jp/jma/press/1604/16b/kaisetsu201604160730.pdf(気象庁資料6)

 

今回の地震の特徴まとめ(2016年4月16日午前9時時点)

·14日21:26の地震はM6.2(USGS)にしては余震が多く,また,余震の大きさも本震に対して大きい.

·16日1:25amになってM7.0(USGS)の地震が発生した.14日の地震にくらべて大きいため,もはや余震ではなく,別の地震と捉えるべき.


·関連する断層が複数に渡ることも珍しい.最初の地震は日奈久断層の北部(西部)の布田川・日奈久断層帯が分岐するあたりで発生し,余震分布は布田川断層帯にもわたっていた.そしてこの布田川断層でM7.0の地震が発生.その後の余震分布は阿蘇山を超えて別府-万年山断層帯に及んでいる.

 

 
 

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