2011326
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浄水器による放射性物質除去:谷岡明彦・東工大教授

Ver.1.0 (110326-03:00 Updated 110326-14:43)

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谷岡 明彦(たにおか・あきひこ)教授

東京工業大学 大学院理工学研究科 有機・高分子物質専攻
物理化学、界面電気化学、高分子科学、ナノサーフェスエンジニアリング)

Q. 浄水器によって、水道水中の放射性物質は除去できますか?

 浄水器のタイプや流す水量によってかなりの量が除去できるものから全く効果の無いものまであり、一概に言えません。

 仮に多量の放射性物質が水道水中にあり、非常に除去率の高い浄水器を使用した場合は問題です。なぜなら水から見れば放射性物質を除去することになりますが、放射性物質からすれば浄水器の中に高濃度で濃縮されることになります。

 金町浄水場のように処理システムが完備されているところでは放射性物質を吸着させた活性炭を安全に処理できますが、家庭の浄水器フィルター部で濃縮された放射性物質をそのままゴミ箱に捨てるとかえって危険ではありませんか。

 現在は除去するほど危険な量ではありません。まともな浄水器メーカーは放射性物質の除去をうたう浄水器ビジネスを展開することはありませんが、なかには怪しい商品も出てくる恐れがあります。

 

参考リンク

「ヨウ素についての情報整理」天羽優子准教授(山形大学 理学部物質生命化学科) 

http://www.cml-office.org/archive/?logid=545

※科学的裏付けの無い効果を謳う浄水器の販売を批判してきた天羽氏によるブログ記事。

浄水器以外にもヨウ素の煮沸による濃縮影響等、有用な記述有り。

 

飲料水の安全性について

世界保健機関(WHO)が「日本で水道水を飲用しても、ただちに健康上のリスクが生じるわけではない。それはなぜか。」と題して新しい文書を公開しています(PDF):

http://www.who.or.jp/index_files/FAQ_Drinking_tapwater_JP.pdf

 

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専門家によるこの記事へのコメント

  1. 市川

    >まともな浄水器メーカーは放射性物質の除去をうたう浄水器ビジネスを展開することはありませんが、なかには怪しい商品も出てくる恐れがあります。

    この表現では、放射性物質を除去を表記しているメーカーは全て怪しい商品であるといった印象になります。実際に公的機関での検査結果を掲載しているところガありますが、怪しいメーカーだとは思いません。

    幼児を育てる親としては、慎重に商品を選択し浄水器を導入するつもりです。
    フィルターに放射物質が蓄積されてしまうのであれば、責任を持ってメーカーに処理をお願いしようと考えています。

    大学教授という社会的地位のある方が、このような見解を述べたまま放置するのはどうかと思います。

  2. だい

    そもそもフィルターにたまったら危険というのであれば、
    それを体内に溜め込んでおく方がより危険なのでは?

    フィルターに溜まったら危ないような量を
    体内を通しても良いという根拠がわかりません。

  3. 大量に漏れ続けているようです。保管もいずれ限界に達し、海に放流せざるをえなくなるでしょう。その時、高濃度おの放射性物質をどれくらいフィルターで除染できるのでしょうか。

  4. 高橋

    逆浸透膜システム浄水器は、水の分子のみ浸透膜を通過します。
    通常の浄水器ですと膜の表面に不純物が残る事になりますが、逆浸透膜の場合は常に膜の表面をクリーニングしている形となり、不純物は残らず、それが「廃棄水」として流れます。
    100%の蓄積物排除は不可能でも、お考えの方式よりは安全性高いと思われるのですが?

    但し、予想される廃棄水の危険性は如何なものでしょうか?
    ※皮膚等の付着には、注意いたします。

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