地球規模の大地震の関連性について:トム・パーソンズ博士・米地質研究所
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<SMC発サイエンス・アラート>
この数週間の間に世界では地震が相次いでいます。しかし、米地質調査所が過去30年間の地震カタログを分析したところ、地球規模で見る限りでは、大地震のあとに他の大地震が誘発される可能性は低いと結論づけました。(この研究はあくまで地球規模の地震連鎖の話であり、プレートが集中する日本列島周辺に適用される研究成果では無いことに注意して下さい)
3月27日付けの科学誌ネイチャー・ジオサイエンスに掲載された論文の著者インタビューをお送りします。
【原著論文】Tom Parsons & Aaron A. Velasco, "Absence of remotely triggered large earthquakes beyond the mainshock region", Nature Geoscience (2011) 【リンク】
トム・パーソンズ博士(Tom Parsons)
地球物理学者、米地質調査所
Q. 3月11日の東北地方太平洋沖地震について知ったとき、どのようなことを考えられましたか?
私が東北地方太平洋沖地震についての最初の報告を受けたとき、マグニチュードは7.9、震源の深さは14kmとなっていました。私が最初に心配したのは津波です。日本のテレビ局が生中継していた津波が実際に迫ってくる様子をインターネットで見ながら、また、マグニチュードが繰り返し訂正されて9に近づいていくのを見ながら、恐ろしい思いをしました。
Q. パーソンズ博士の最新の論文(『主震域の外部において誘発される大規模地震の欠如』ネイチャー・ジオサイエンス、2011年3月27日号に発表)についてですが、日本をまた別の地震が襲うことを考えておられましたか?
私は地震の誘発の問題についても留意していたので、地球規模の地震活動率をモニタリングしていました。今回の東北で起きた地震に関して言うと、地域的に余震が多数起こるという点では先行研究の知見と一致していますが、地球規模での影響についてははっきりとした根拠を示せていません。
Q. マグニチュード9.0の地震からこれで12日間経ちましたが、まだリスクはありますか?
今後、より被害の大きな地震が起こるのかどうかが今後の懸念であり、世界中の研究者がこの可能性を定量化しようとしています。多くの余震が今後起こるだろうことは間違いなく、実際にすでに起こっています。これら余震のほとんどは小さいもので、その頻度も日に日に低くなっていくでしょう。とは言え、引き続きの警戒の大切さは言うまでもありません。
Q. 3月24日にミャンマーを大きな地震が襲いました。この地震は東北地方太平洋沖地震と関係していると思われますか?
二つの地震の距離および時間差を考えると関係はなさそうですが、かといって関係ないとは言いきれません。私たちがまだ知らない、地球物理的なメカニズムがあるかもしれませんから。ミャンマーの地震は、3月11日以降に東北地方太平洋沖地震の余震域の外側で起こった唯一の大規模な地震だと思われます。しかしこの二つの地震を、過去三十年間の地震についての我々の研究と照らし合わせてみると、このビルマの地震が同時期に起こったのは偶然だった可能性が高いと言えるのではないでしょうか。
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