海外専門家コメント
豪州のコアラ保護についての取り組み
Ver.2.0 (120716-17:30)
・これは、2012年5月2日にジャーナリスト向けに発行したサイエンス・アラートです。
・記事の引用は自由ですが、末尾の注意書きもご覧下さい。
・このサイエンス・アラートは豪日交流基金(Australia-Japan Foundation)からの支援をいただき、作成されたものです。
<SMC発サイエンス・アラート>
豪州のコアラ保護についての取り組み
オーストラリアの環境大臣トニー・バークはコアラの分布リストを作り、クイーズランド州、ニュー・サウス・ウェールズ州とオーストラリア首都特別地域でコアラを絶滅の恐れのある生物種のリストに登録すると4月30日に発表いたしました。発表についてオーストラリアの専門家のコメントをお送りします。
※正確さよりも早さを優先して翻訳しております。原文を添付致しましたので、必要であれば訳し直してご利用下さい。
クリス・ジョンソン教授(Chris Johnson)
オーストラリア・タスマニア大学 自然保護と動物学科
Professor of Wildlife Conservation and an ARC Australian Professorial Fellow in the School of Zoology at the University of Tasmania
「 コアラの分布リストを作る試みは、これまであまりありませんでしたが、賢明なことだと思います。コアラが直面している問題は、地域によって非常に異なります。(オーストラリアの)南部では、コアラの数が増えすぎていて生息地に被害を与えています。北部ではコアラの数は様々な理由で減少しています。それらの理由の中には明らかになっているものもあります。例えばクイーンズランド州の南東地域ではコアラが自動車や犬に脅かされていることがよく知られています。他の理由に関してはあまりよくわかっていません。可能性として、大気中のCO2の上昇が、コアラが食べるユーカリの葉の、栄養の質に影響を与えていることが強く疑われますが、どこまで数の減少に繋がっているのかはわかっていません。
現在、北部と南部の集団は基本的に別々に生息しています。ニュー・サウス・ウェールズ州の南部ではコアラの数が非常に少なく、両集団の遺伝子流動性はほとんどありません。北部と南部のコアラ集団を違う種ととらえ、我々はそれぞれの集団のニーズを考える必要があります。したがって、別々のリストを作り、北部の集団を『危急種』と登録するのは合理的な評価だと思います。」
【コメント原文】
The decision to create a split listing for the koala is unusual but sensible. The problems facing koalas are very different across its geographic range. In the south, some populations are over-abundant and are damaging their habitat. In the north, koala populations are in decline for a multitude of reasons. Some of these reasons are quite well understood. For example, we know very well that koalas are threatened by cars and dogs in southeast Qld. Others are poorly understood: there is a strong possibility that rising atmospheric CO2 could be harming koalas by affecting the nutritional quality of gum leaves, but we don't know how much this is contributing to declines.
The northern and southern populations are now basically separate. There is little or no gene flow between them because koalas are so rare across southern New South Wales. We will need to think about the differing needs of northern and southern koalas almost as if they are two different species. Therefore it makes sense that they be given separate listings, and it is a reasonable assessment of the evidence to class the northern population as 'vulnerable'.
グレッグ・バクスター博士(Greg Baxter)
オーストラリア・クイーンズランド大学 地理計画と環境管理学科 野生生物管理 講師
Senior Lecturer in Wildlife Management in the School of Geography Planning & Environmental Management at The University of Queensland
「 大臣の発表を歓迎します。1990年代からクイーンズランド州とニュー・サウス・ウェールズ州のコアラの数が大きく減少していることと、一方でビクトリア州と南オーストラリア州では数が増えすぎていることについては十分な証拠があります。国内のコアラを管理ユニットに分割し、それぞれの集団が違うと示したのは賢明で価値ある成果だと思います。クイーンズランド州とニュー・サウス・ウェールズ州のコアラには絶滅の危機があると評価することで、コアラには未来が開けると思います。」
【コメント原文】
I welcome the Minister’s announcement. There is good evidence that koala populations in Queensland and NSW have suffered rapid and significant reductions since the early 1990s, while some populations in Victoria and South Australia are overabundant. Hence splitting the national population into management units that reflect these differences is a very sensible and worthwhile outcome. Recognition that the Queensland and NSW populations are vulnerable is a major step towards securing their future.
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