201489
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専門家コメント

ネオニコチノイド系農薬と鳥の個体数の減少について

Ver.1.0 (140805-23:47)

・これは、2014年7月30日にジャーナリスト向けに発行したサイエンス・アラートです。

・記事の引用は自由ですが、末尾の注意書きもご覧下さい。

<SMC発サイエンス・アラート>

ネオニコチノイド系農薬と鳥の個体数の減少について

ハチの個体数減少への関与が疑われている「ネオニコチノイド系」殺虫剤について,9日のNature誌に掲載された論文では,餌となる昆虫を殺し,鳥の個体群にも悪影響を及ぼしている可能性が指摘されました。
オランダのラドバウド・ナイメーヘン大学(Radboud University Nijmegen)のカスパル・ホールマン(Caspar Hallmann)氏率いる研究チームは,ネオニコチノイド系化学殺虫剤の「イミダクロプリド」が河川や池・湖などの地表水に高濃度で含まれる同国内の地域を調査しました。
その結果,これら地域に生息する鳥15種の個体数が,殺虫剤濃度が低い地域に比べて,毎年3.5%の割合で急速に減少していることが分かりました。この個体数減少が観察された2003年~2010年までの8年間は,イミダクロプリドの使用が増加した時期と一致すると論文は指摘しています。著者らは,ネオニコチノイド系殺虫剤が繁殖期に不可欠な食物源となる昆虫を殺すことで,鳥の繁殖能力に悪影響を及ぼしていると示唆している一方で,他の原因も排除できないとも指摘しています。
この論文に対する研究者からのコメントをお送りします。

 

 

 

星 信彦 教授

神戸大学大学院 農学研究科 応用動物学講座分子形態分野

今回の論文のポイントは,地表水からイミダクロプリドが高濃度で検出された地域において,同殺虫剤濃度が低い地域に比べて,昆虫食性鳥類が毎年3.5%の割合で急速に減少しているとの調査結果(相関)を示したもので,実験的に因果関係を明らかにしたものではないこと,餌となる昆虫(種類&数)の増減や,イミダクロプリドの鳥への直接的影響は調べられていないことの2点です。

著者らは,ネオニコチノイド系殺虫剤が鳥の繁殖期に不可欠な食物源となる昆虫を殺すことで,繁殖能力に悪影響を及ぼしていると示唆しています。すなわち,食べる餌がなくなったことによる減少,としているわけです。私はその点が少し短絡的すぎないかと気になりました。
この論文は,河川や池・湖などの地表水におけるネオニコチノイド系農薬である「イミダクロプリド」の濃度と鳥の個体数減少に言及していますが,その原因として,イミダクロプリドが餌となる昆虫を駆除し,それを食べる鳥たちは餌が減少したために個体数が減少したとの考察を行っています。しかしながら,どのような昆虫がどのくらい減少したのか,あるいは鳥そのものへのイミダクロプリドの直接影響も調べていません(それを報告した我々の論文を引用して欲しかったものです*)。また,農薬の影響のみならず,宅地開発等による餌場や環境悪化が原因の一端としてなかったのかといった疑問が生じます。
こうしてみると,本論文は,①ヨーロッパでの調査,②直近にNature, Science誌での報告の存在,③EUにおけるネオニコチノイド系農薬の使用禁止,④掲載誌がNature(Science誌ではダメ?),という背景があったから,掲載されたのだろう,と思います(日本や米国がフィールドであればNature誌では取り上げなかったのでは?)。つまり,状況証拠ばかりで直接的証拠のない,科学誌としては説得力に欠ける論文という印象です。とはいえ,丹念に調査された研究成果であり,ネオニコチノイド系農薬が自然環境に与える影響には,計り知れないものがあることを示唆する貴重な論文であることを否定するつもりはありません。また,これまでの農薬問題はとかく,作物等への残留性が取り上げられることが多かったものの,本論文は,実際に,作物に吸収される農薬の有効成分は全体の5%程度でしかないことを指摘しています。すなわち,残りの多くは,土壌と土壌中の水分に入り込み,長期間にわたり残存し,蓄積すると説明している点は,極めて示唆に富む意見と思われます。

ネオニコチノイドが話題になった原因としてミツバチの蜂群崩壊症候群(CCD)があります。1990年代にヨーロッパ諸国で始まったこの現象は,米国,カナダ,中南米,インド,中国,日本などにも広がっています。報告では2007年までに北半球の養蜂の1/4が消失し,受粉の必要な作物生産が大打撃を受けたとされ,日本でも2003年を皮切りに,南は鹿児島から北は北海道までミツバチ被害は広がっています。2012年,ネオニコチノイドの関与を示唆する報告がNature,Science等の有力誌に相次いで3編掲載された**ことを発端に日本でも漸くマスコミで取り上げられるようになりました。加えて,米国小児学会の「脳の発達障害や脳腫瘍など,農薬による子供の健康被害」についての報告も影響し,2013年12月,EUは予防原則に従ってネオニコチノイド系農薬3種(クロチアニジン,イミダクロプリド,チアメトキサム)を暫定2年間の使用禁止としたわけです。それ以外にもここ数年,ネオニコチノイド系農薬に関する論文が一流誌に掲載されるようになり,無視できないところまで来ています。

日本においては2012年9月に,環境省が「生物多様性国家戦略2012-2020」を発表し,生物の保全にも人々の関心が高まりつつある反面,身のまわりから鳥や昆虫の姿が消えているのもまた現実です。生息地の破壊以外の要因も考えるべきでしょう。とくに近年,中心的な農薬になりつつあるネオニコチノイド系農薬の影響について,ヨーロッパでは大きな議論となっており,米国鳥類保全協会も2013年3月に報告書を出しています。

『沈黙の春』(レイチェル・カーソン著)の影響もあってか,日本では「農薬問題」は一般に解決された問題という意識が強いでしょう。そんな中,「日本野鳥の会」などの市民団体は啓蒙活動を続けています。
EUがネオニコチノイド系農薬の使用を2年間禁止したのに対し,本年(2014年)3月,日本では厚生労働省が,食品におけるネオニコチノイド系農薬の残留濃度を最大2,000倍緩和する案をまとめていました。それでなくても,日本の基準は欧米に比べて数10~数100倍も緩いのですが,さらに緩和しよう(農薬が残っていても法規制上問題なくなるように)としたわけです。この対応は全く驚くべきもので,ネオニコチノイド系農薬に対する基礎的知識の欠如あるいは情報能力の無さとでも言うべき拙いものです。
ネオニコチノイドが身の回りでどのように使用されているかというと,農業においては,稲,野菜,果樹に対して種子を農薬に浸けておく前処理や無人ヘリコプター等を用いて生育中の作物に空中散布するという用途で用いられています。林業においては松枯れ防止剤として,建築業においては,材木に対するシロアリ防除剤として用いられています。家庭内においても園芸用の害虫対策スプレーや,ペット用のノミ取り剤,コバエ,アリ等に対する殺虫剤として利用されており,ネオニコチノイドは驚くほど身近な存在となっています。
日本では稲作との関係からクロチアニジン(商品名:ダントツ)やジノテフラン(商品名:スタークル)に注目する必要があります。とくに近年,スタークルは空中散布材として使われているので注意が必要です。

ネオニコチノイド系農薬(殺虫剤)は,昆虫にのみ毒性を持つ農薬として1990年代前半に開発されました。しかし,ネオニコチノイド系農薬が酸化ストレスを介して哺乳動物の生殖系に異常を起こすことは既に報告されており,ヒトを含む哺乳類における危険性が示唆されています。ヒトを含む哺乳類へのネオニコチノイド系農薬の影響についての研究は端を発したばかりで,これからの研究成果を待ちたいところです。

我々は2011年から,ネオニコチノイド系農薬の影響について,新潟大学関島 恒夫研究室と共同研究しています。データとして佐渡市の水田におけるネオニコチノイド系農薬の使用量が10分の1となった結果,野生下でのトキの孵化率は劇的に上昇しました。使用する農薬を代えた(ネオニコチノイド系農薬の使用を大幅に減少させた)ことによるか否かは,詳細な検証が必要ですが,少なくとも何らかの因果関係はあると考えています。

*:ネオニコチノイド系農薬の鳥類への影響を実験的に調べ報告した研究(Tokumoto et al, JVMS, 2013:添付ファイル)。ネオニコチノイド系農薬が微量でも体内に入ると抗酸化酵素の減少を起こし,酸化ストレスに曝され,結果として雄動物では精子産生阻害,雌動物では,卵成熟の阻害→産卵率の低下,を招くことが示唆された。


**:掲載された3編は以下の通り
1)フランス・国立農学研究所の報告: ICチップを背負わせたハチを800 m以上離れたところから帰巣させると,低濃度チアメトキサム曝露群では10~31%巣に帰れなくなる[Henrry et al., Science, 2012]
2)イギリス・スターリング大の報告: 微量イミダクロプリド入り砂糖水を摂取させたマルハナバチコロニーでは次年度生まれてくるハチの体は8-12%小さく,女王の産出が85%減少した[Whitehorn et al., Science, 2012]
3)イギリス・ロンドン大の報告: イミダクロプリドとピレスロイド系農薬の複合影響で働きバチの採餌行動や数自体が減少しコロニーが弱体化することが示された[Gill et al., Nature, 2012]。

関連文献:
1)水野玲子『新農薬ネオニコチノイドが日本を脅かす もうひとつの安全神話』(2012年,七つ森書館)
2)岡田幹治『ミツバチ大量死は警告する』(2013年,集英社新書)
3)井田徹治『有害化学物質の話 農薬からプラスチックまで』(2013年,PHPサインエスワールド新書)
4)黒田 洋一郎,木村-黒田純子『発達障害の原因と発症メカニズム 脳神経科学からみた予防,治療・療育の可能性』(2014年,河出書房新社)
5)木村-黒田順子他『新農薬ネオニコチノイド系農薬のヒト・哺乳類への影響』(2012年,日本臨床環境医学 21: 46-56)
6)NPOダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議『新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間』(2012年)
7)Tokumoto et al., Effects of exposure to clothianidin on the reproductive system of male quails. J Vet Med Sci, 75: 755-760, 2013.
8)環境省『生物多様性国家戦略2012-2020』
http://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/initiatives/files/2012-2020/01_honbun.pdf

 

岸本 充生 特任教授 

東京大学公共政策大学院

本論文で示されたのはタイトルのとおり2つの変数の間の相関関係です。それが、イミダクロプリド使用量の増加による間接的な影響、すなわち因果関係を持つというのはあくまでも著者らの1つの仮説です。この仮説は推論に推論を重ねたものであり、多くの不確実性を持つことに注意すべきでしょう。1つ目はデータセットの不確実性です。表流水中のイミダクロプリド濃度と15種類の鳥類の内的自然増加率という2つのデータは時間と場所が一致していないため、「内挿」*による推計が多く使用されています。このことによるデータ上の不確実性は非常に大きなものです。2つ目は、推計された表流水中イミダクロプリド濃度と15種類の鳥類の内的自然増加率の間の統計的に有意な相関を、因果関係があるという前提ですべての推論が進められていることです。この関係が「たまたま」である可能性については、土地利用の変化以外の因子は考慮されていません。もちろん、著者らの仮説どおり、イミダクロプリドの使用量の増加が、昆虫の減少を通して、それらを餌とする鳥類の減少につながっている可能性も否定することはできません。

医薬品の臨床研究のような人為的な介入試験は、他の因子をコントロールできるため、統計的な相関関係から因果関係を予想しやすいのですが、本論文のような、時系列研究や横断的研究といった観察研究は、可能性のある因子をすべて考慮することが難しいという限界があります。ただ、幸い、欧州では2013年12月1日から2年間、イミダクロプリドを含む3種類のネオニコチノイド系農薬を含む植物保護製品で処理された種子の使用と販売が禁止されています。このため、現在、オランダを含む欧州では事実上、人為的な介入試験に似た状況が生まれています。このモラトリアム期間にミツバチだけでなく、昆虫や鳥類の数の動向についてきちんとした調査が行われ、その結果が公表されることが期待されます。本論文の仮説の検証にも使えるでしょう。

ネオニコチノイド系農薬は、浸透移行性**を利用して種子や苗に処理するために、動物や労働者に対して低毒性であるとされてきました。論文の最後の節に書かれているように、カーバメート系、ピレスロイド系、有機リン系といった、ヒトや動物へのリスクが大きい農薬の代替品として登場した経緯があります。そのため、ミツバチや昆虫への直接影響、あるいは本論文のような鳥類への間接影響を理由に、ネオニコチノイド系農薬の使用を減らす場合には、その代替剤として何が使われるかにも着目すべきでしょう。場合によっては、使用を禁止せずに、何らかのリスク管理措置を導入する方が、リスクが小さい可能性もあるでしょう。

*:内挿-ある変域内で既にあるデータから目的のデータを推定し、近似値を求める手法

**:浸透移行性-植物の根や葉から薬剤の成分が吸収され、植物体内を移行する性質

 

黒田 洋一郎 代表

環境脳神経科学情報センター

近年、欧米や日本で懸念されている野鳥減少の原因に関わる、このNatureの論文は、地域毎に鳥の種別個体数と、河川などの水系におけるネオニコチノイド系農薬(以下ネオニコ)イミダクロプリド(IMI)の濃度を調べた点で注目すべきと考えます。

  • 鳥への間接影響

この論文ではIMI汚染によって昆虫が減少し、昆虫を捕食する鳥の減少が起こることを指摘しています。ネオニコは昆虫にだけ働く性質が高く安全と謳われていますが、害虫以外の昆虫や他の生物種にも毒性を発揮し、さらに水に溶けやすいため浸透性で、分解しにくいため残留性も高く生態系に長く蓄積して、地球環境に甚大な影響を及ぼすことがこの論文で明らかとなりました。

ネオニコの標的はニコチン性アセチルコリン受容体(以下nAChR)であり、nAChRと本来nAChRに結合・反応する化学物質であるリガンド・アセチルコリン(ACh) は共に、単細胞生物からヒトを含む高等動物に至るまで情報伝達を担う重要な生理活性物質*です1。そのためネオニコは昆虫以外の動物にも毒性が高く、例えば環形動物のミミズ2(鳥の餌にもなり土壌を豊かにすることをダーウインが発見)や淡水系甲殻類3など多種類の動物種への毒性が報告されています。

  • 鳥への直接影響

論文では昆虫減少を介した間接影響しか述べていませんが、減少した鳥には植物の種子などを餌とする種もあり、これらは直接IMIが散布された種子などを摂取することによる直接影響も考えられます。

神戸大の星教授らは、ウズラを使ってネオニコ系クロチアニジンに鳥への生殖毒性があることを報告しています4

またトリのnAChRは、低濃度のネオニコ存在下で本来のリガンド・AChの反応性が撹乱**されます5(これはヒトnAChRでも同様の報告があり6、ヒトへの影響の重要な根拠)。トリの脳神経系でもAChは重要な神経伝達物質であるので、ネオニコが鳥に直接影響を及ぼしている可能性も極めて高いです。

  • ヒトへの影響

ヒトを含む哺乳類でもACh系は脳神経系、免疫系、生殖系など多臓器で重要な働きをしているため、ネオニコも当然急性毒性があります。実際、青山内科小児科医院 青山美子医師、東京女子医科大学 平久美子医師らは、ネオニコを多く摂取したために不整脈など亜急性中毒を起こした患者の尿中にネオニコ代謝物が検出されたことを報告しています7。上述したように、ネオニコがヒトnAChRの機能をかく乱する報告もあり6、さらに重要なことにnAChRはヒトなど哺乳類の発達期の脳で多く発現し、正常な脳発達に重要であることも分っています8

私たちはヒトに近いラットの発達期小脳培養***を用いて、ネオニコが神経毒性の明らかなニコチンに極めて近い影響を及ぼすことを報告しました9。欧州食品安全機関EFSAは、この論文を精査してネオニコに発達神経毒性の可能性があり、規制を厳しくするよう公的勧告を2012年12月に発表しています10,11。国内ではネオニコの食品残留規準が欧米に比べ極めて緩い上に、さらに緩められようとしており、世界の動きに反した動向をとっています。

  • ネオニコに関わるミツバチ大量死と国内の動き

ネオニコがミツバチ大量死の要因となることは、Science12,13,Nature14など主要論文で科学的に明らかとなり、EUはネオニコ3種の暫定使用禁止を実施し、米国でも保護対策に乗り出しています。一方、日本では、農水省所管の農研機構畜産草地研究所による調査で大量死したミツバチにネオニコが検出され、ようやくネオニコのミツバチへの影響を認めましたが15、ネオニコ散布の際にミツバチを避難させるという非科学的勧告しかしておらず、世界的にも極めて遅れた対応をしています。

 以上、ネオニコによるミツバチ、鳥の減少は、地球環境やヒトの健康障害への重要な警鐘と考えられ、国内でも世界レベルの規制政策を早急にすべきです。

*:生理活性物質:生体に作用し,種々の生体反応を制御する化学物質の総称。特異的な反応に関与しており,ごく微量で十分な反応がみられる。

**:トリのnAChRは、低濃度のネオニコ存在下で本来のリガンド・AChの反応性が撹乱される:トリのnAChRは、リガンド・AChを投与すると興奮作用を起こすが、低濃度のIMIやネオニコ系クロチアニジンを入れた状態でリガンド・AChを投与すると興奮作用がより強くなり、ネオニコ系チアクロプリドを入れた状態では興奮作用がより弱くなった。一方、ヒトnAChRではIMIを入れた状態では興奮作用が弱くなり、ネオニコ系クロチアニジンを入れた状態では作用が強くなった。

***:発達期小脳培養:発達期のラットを用いた小脳神経細胞培養

関連文献: 

1)川島紘一郎:哺乳類における非神経性アセチルコリンの発現とその生理作用.日薬理誌 127:368-374,2006

2)Wang Y1, et al. Comparative acute toxicity of twenty-four insecticides to earthworm, Eisenia fetida. Ecotoxicol Environ Saf. 79:122-128, 2012.

3) Van Dijk TC1, et al. Macro-invertebrate decline in surface water polluted with imidacloprid. PLoS One. 8(5):e62374. 2013.

4) Tokumoto J, et al. Effects of exposure to clothianidin on the reproductive system of male quails.J Vet Med Sci. 75(6):755-760, 2013.

5) Toshima k, et al. Potentiating and blocking actions of neonicotinoids on the response to acetylcholine of the neuronal alpha4beta2 nicotinic acetylcholine receptor. J Pestic. Sci. 33:146-151, 2008

6) Li P, et al. Activation and modulation of human alpha4beta2 nicotinic acetylcholine receptors by the neonicotinoids clothianidin and imidacloprid. J, Neurosci.Res. 89:1295-1301, 2011

7) 平久美子 ネオニコチノイド系殺虫剤のヒトへの影響― その1:物質としての特徴、ヒトにおける知見― 臨床環境 21:24~34,2012

8) Role LW, Berg DK. Nicotinic receptors in the development and

modulation of CNS synapses. Neuron 16: 1077–1085, 1996.

9) Kimura-Kuroda J, et al. Nicotine-like effects of the neonicotinoid insecticides acetamiprid and imidacloprid on cerebellar neurons from neonatal rats. PLoS One 7(2):e32432, 2012.

10) EFSA Panel on Plant Protection Products and their Residues. Scientific Opinion on the developmental neurotoxicity potential of acetamiprid and imidacloprid. EFSA Journal 11(12):3471, 2013

11) 黒田洋一郎 欧州食品安全機関,ネオニコチノイド系農薬がヒト脳に発達神経毒性の可能性ありと公表 科学 84:234-238, 2014

12) Whitehorn PR, et al. Neonicotinoid pesticide reduces bumble bee colony

growth and queen production.  Science: 336: 351-352, 2012

13) Henry M, et al. A common pesticide decreases foraging success and survival in honey bees. Science 336: 348-350, 2012

14) Gill, R.J, et al. Combined pesticide exposure severely affects individual- and colony-level traits in bees. Nature 491:105-108, 2012.

15)農研機構

http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nilgs/053347.html

 

ネオニコチノイドに関する総説:

木村—黒田純子ら、新農薬ネオニコチノイドのヒト・哺乳類への影響. 臨床環境21:46~56,2012

 

 

Dave Moore 研究主幹 

CABI

この論文によって、化学農薬を代替する選択肢が必要であるということが再度示されたといえます。
生物農薬の開発に化学農薬の研究に費やした予算の一部でも充てられれば、害虫を安全にコントロール
することができるように思えます。
生物農薬は化学農薬の様な巻き添え被害を防ぐこともできますし、安価に効果的な防除をすることができると考えています。

【コメント原文】

“The paper once again demonstrates that effective alternatives to chemical pesticides are urgently needed. If a fraction of the money spent on chemical insecticide research was spent on developing biological pesticides, we could have environmentally safe methods of delivering control that would have many benefits over the chemicals. Not least of the benefits would be increased control of pests by the biodiversity killed as collateral damage by chemicals. Biological pesticides can be incredibly cheap to develop and can deliver control that is as effective, though with different characteristics, as chemicals.”

Charles Godfray 教授 

Oxford Martin School, Oxford University

この研究の強みは、鳥の個体数とネオニコチノイド系農薬の濃度のデータセットを初めて用いたことです。
しかし、著者らも認めているようにこの研究は両者の相関に注目した物であり、統計手法には議論があるでしょう。
また、昆虫の減少についてより確実なデータを取る為には、実際の農地で大規模な調査をすることも大変重要だと考えています。

【コメント原文】

“The strength of this work is that it brings together for the first time datasets on bird populations and neonicotinoid concentrations in the environment to ask very important questions.  But as the authors acknowledge it is a correlative study and there will be debate about the detailed statistical methodologies used (for example whether all confounding variables have been accounted for and whether spatial covariance in the data has been adequately dealt with).  What I take from this paper and other work on the effects of neonicotinoids on insect pollinators is the enormous importance of setting up large, replicated field experiments in real agricultural landscapes to get much harder data on the effects of this class of insecticide on all elements of biodiversity.”

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