2015819
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海外専門家コメント

中国・天津の爆発事故と有毒物質

・これは、2015年8月17日にジャーナリスト向けに発行したサイエンス・アラートです。

・記事の引用は自由ですが、末尾の注意書きもご覧下さい。

<海外SMC発サイエンス・アラート>

中国・天津の爆発事故と有毒物質:海外専門家コメント

中国の天津市で12日深夜に発生した爆発事故により、114名の死者が確認されたと発表されています(8月17日現在) 。グリーンピースのレポートによると、事故現場にはシアン化ナトリウムやトルエンジイソシアネート、炭化カルシウムが保管されていたとのことです。
本件についての海外専門家コメントをお送りします。

 

翻訳は迅速さを優先しております。ご利用の際には必ず原文をご確認ください。

Associate Professor Deborah Read

Centre for Public Health Research, Massey University

天津の現場にどのような有害物質があり、防護措置が取られているのかはいまだはっきりとしていません。既に報じられているシアン化ナトリウム、炭化カルシウム、トルエンジイソシアネートは、いずれも吸い込むと深刻な呼吸困難を引き起こします。

シアン化ナトリウムは水や酸と反応すると、有毒なシアン化水素(青酸ガス)が発生します。生体への酸素供給を妨げ、特に脳にや心臓、肺に致命的な影響を与えます。炭化カルシウムは、水に触れると、爆発し炎が出ます。また、皮膚や眼、気道を腐食させ、肺水腫の原因となります。トルエンジイソシアネートは眼と気道の炎症、喘息や肺水腫を引き起こすことが知られています。

火災によって、上記以外の有毒物質も発生していると思われます。やけどや破片による怪我の他にも、生存者は呼吸器に何らかの障害が現れる可能性があります。また、現場付近の住民にも、眼や呼吸器、精神的な影響が及ぶ可能性もあります。症状は、事故前の有毒物質の曝露量、年齢、事故以前の健康状態によって異なると思われます。ちなみに、ニュージーランドでは法律によって、有害物質の輸送方法や保管方法が定められています。

 

原文

"It is still unclear what hazardous substances and chemical safeguards were present in the Tianjin warehouse. Three highly hazardous substances have so far been reported – sodium cyanide, calcium carbide and toluene diisocyanate. Inhaling any of these chemicals causes breathing difficulties which may be fatal. 

"Sodium cyanide releases hydrogen cyanide gas on contact with acids or water. Hydrogen cyanide interferes with the body’s ability to use oxygen particularly affecting the brain, heart and lungs and can rapidly lead to death.  

"Contact of calcium carbide with water can result in  fire and explosion.  Calcium carbide is corrosive to skin, eyes and airways and can cause fluid in the lungs (pulmonary oedema).    

"Toluene diisocyanate irritates eyes and airways and can cause asthma and fluid in the lungs (pulmonary oedema).

"Other toxic chemicals will also have been formed by fire. Apart from burns and injuries from glass and other debris, the survivors are likely to have respiratory effects. Nearby residents may also experience eye irritation and respiratory and psychological effects. Ill-health among residents will depend on the extent of their exposure before they were evacuated and factors like their age and pre-existing health status.

"In New Zealand the Hazardous Substances and New Organisms Act 1996 and the Resource Management Act 1991 cover the safe transport and storage of hazardous substances." 

 
 

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