海外専門家コメント
GSK、途上国に対し、医薬品の特許料引き下げ対象品を拡大
・これは、2016年4月4日にジャーナリスト向けに発行したサイエンス・アラートです。
・記事の引用は自由ですが、末尾の注意書きもご覧下さい。
<海外SMC発サイエンス・アラート>
GSK、途上国に対し、医薬品の特許料引き下げ対象品を拡大:海外専門家コメント
英国の大手製薬メーカー、グラクソスミスクライン(GlaxoSmithKline:GSK)は、所得の低い途上国では、同じ医薬品を先進国よりも大幅に安い特許料で販売していますが、3月31日に対象となる医薬品枠を広げると発表しました。この件につ いて、海外専門家コメントをお送りします。
翻訳は迅速さを優先しております。ご利用の際には必ず原文をご確認ください。
【参考リンク】
Jackie Hunter
Chief Executive of Stratified Medical and former Chief Executive of the Biotechnology and Biological Sciences Research Council (BBSRC)
これまでGSKは、熱帯病やHIVなどの医薬品製造分野において、医薬品特許プール*1)のしくみを利用して途上国への薬の供給を牽引してきました。今回、この手法をガンにも適応し、小分子や抗体などによる医薬品を使えるようにするとしており、嬉しく思っています。
*1)医薬品特許プール:医薬品の特許を所有している企業、大学、研究機関などが、自ら所有する特許権を差し出すことで、第三者による製造や製品改良をしやすくするためのしくみ。世界保健機関(WHO)主導で設立され、国際的に機能している。
原文
“GSK has taken the lead in past in terms of making medicines available for neglected tropical diseases and also for HIV through the Medicines Patent Pool. I am pleased to see that they are extending this to cancer and making their early stage oncology portfolio available in the same way. GSK has a portfolio of both small molecules and antibodies in their oncology pipeline and clearly past experience with the patent pool has been with small molecules. It will be interesting to see how the immuno-oncology antibodies are made available since their cost of goods is higher than small molecules with more logistical challenges and whether this can then translate to antibodies in other therapeutic areas.”
Jackie Hunter:彼は元GSK従業員で、現在はStratified Medical LtdのCEOです。
Prof Jayne Lawrence
Chief Scientist at the Royal Pharmaceutical Society
GSKが、進んで最貧地域の人々に薬を届けられるようにしている点は素晴らしいと思います。ドイツのメルク社もGSKと同様の動きを見せはじめており、こうした活動が製薬業界のトレンドになることで、より多くの人々がより安価に日薬品にアクセスできるようになると期待できます。
原文
“Any initiative that potentially widens access to patients in the poorest parts of the world has to be good news. This current development by GSK builds on their widely publicised policy to address healthcare challenges of the developing world by taking an innovative, responsible and sustainable approach and should mean that patients in the developing world gain access to a cheaper form of GKS's innovative new medicines more quickly.
“Encouragingly, the pharmaceutical industry as a whole is increasingly looking at ways of ensuring that the world's poorest people obtain life-saving medicines at more affordable prices. For example, Merck KGaA have recently made similar moves to those announced today by GSK.”
Prof Alan Boyd
President of the Faculty of Pharmaceutical Medicine of the Royal Colleges of Physicians
アカデミア側の薬学部や医学部では、民間企業による今回のような取り組みを好ましく思っています。多くの企業が同様の知財戦略やポリシーを採用してくれることを望みます。
原文
“The Faculty of Pharmaceutical Medicine is pleased to see this commitment to widening a graduated approach to patents and intellectual property for medicines. This is a significant announcement and good news and should bring benefits to patients living in these countries. Access to medicines for patients on a global basis is vital and it is good to see an innovative approach like this to ensure this happens. We would encourage other companies to follow suit and consider adopting similar policies with their global patent and IP strategy.”
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