妊娠中にパラセタモールを服用しても、赤ちゃんの自閉症・ADHD・知的障害リスクは上昇しない
昨年9月、トランプ政権は妊娠中のパラセタモール服用と自閉症発症リスク上昇の関連性を発表した。しかし国際チームによる新たな「ゴールドスタンダード」エビデンスレヴューでは、そのような関連性は存在しないと結論づけられた。
研究者らは過去43件の研究エビデンスを精査し、うち17件の統合データを再分析。数値を処理した結果、妊娠中のパラセタモール服用と、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、知的障害の発症リスクとの間に関連性は認められなかった。
この関連性の欠如は、研究者が最も信頼性の高い研究のみ、あるいは少なくとも5年間の追跡調査を実施した研究のみを選別した場合でも同様であった。著者らは「妊娠中のパラセタモール服用がこれらの疾患発症リスクを高めないことを妊婦は確信できる」と結論づけている。

専門家コメント
Dr. Jana Meixner(Donau-Universität Krems/オーストリア)
この総説は、非常に堅実な研究に基づいており、その結果も信頼性が高いと思われる。このレビュー論文では、妊娠中のパラセタモールの安全性について、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、子供の知的発達障害の発生率に関する研究を信頼性の高い形でまとめている。
パラセタモールと ASD、ADHD、その他の知的発達障害との間にまったく関連性はないことが示されている。これまでに観察された関連性は、遺伝的素因、参加者の記憶の誤り、あるいは服用理由となった妊婦の発熱や疾患など、研究におけるバイアスによるものと思われる。
妊娠中の高熱は流産や子供の発達障害リスクを高めるため、効果的な解熱鎮痛剤が利用できることは重要である。パラセタモールは妊婦が服用できる数少ない薬であり、不当な不安を煽ることは無責任だ。
Dr. Anne Reinhardt(LMUミュンヘン大学)
トランプ政権下で見られた言説は、恐怖や罪悪感に訴えることで影響力を持つ。妊娠中の親にとって胎児を守ることは最優先事項であり、こうした語りはその点につけ込む。
短期的には不安を引き起こし、医学的助言への不信や必要な治療の回避につながり得る。長期的には、たとえデータが反対の結論を示していても、科学や医学への信頼を損なう。
このような質の高い総説は、誤情報を正し、人々が情報に基づいた意思決定を行ううえで不可欠である。ただし、事実だけでは十分でない場合もあり、適切なコミュニケーションとメディア・リテラシー教育が重要だ。
Dr Monique Botha(ダラム大学)
本研究は非常に信頼性が高く、政治的に争点化されたテーマに対して明確な回答を示している。研究者らは、最も信頼性の高い研究、特に兄弟姉妹比較研究に重点を置いた。
その結果、妊娠中に推奨どおりパラセタモールを使用しても、自閉症、ADHD、知的障害のリスクが増加するという証拠は存在しないことが明確に示された。
本研究は、現在の医療上の助言を裏づける堅牢なエビデンスを提供している。
Prof Ian Douglas(London School of Hygiene & Tropical Medicine)
本研究は、適切に実施された時宜を得たシステマティック・レビューである。研究者らは、兄弟姉妹比較、低バイアス研究、長期追跡研究に限定して分析を行った。
その結果、質の低い研究に由来する「ノイズ」を除外し、パラセタモールそのものによる有害影響が存在しないことを明確に示している。