Dr Kaja Abbas, Associate Professor of Infectious Disease Epidemiology and Dynamics at the London School of Hygiene & Tropical Medicine and Nagasaki University:
ーニパウイルスとは
ニパウイルスは、1999 年に初めて同定された人獣共通感染症の RNA ウイルスで、人に重篤な呼吸器症状や神経症状を引き起こします。発熱や頭痛から始まり、急性脳炎へと進行することもあります。2001 年以降、特にバングラデシュやインドで散発的ながら繰り返し流行が起きています。
果実食コウモリなどの動物から人への動物由来感染に加え、人から人への感染、また汚染された果実製品(ナツメヤシの樹液など)を介した人への感染も報告されています。
ー現在の流行状況
インド保健省は、2025 年 12 月以降、西ベンガル州で医療従事者 2 人の感染を確認しました。追跡された接触者はいずれもニパ感染陰性でした。
ー流行抑止のための対策
国際的な拡大を防ぐため、タイやネパールでは空路・陸路の入国地点でインドからの渡航者のスクリーニングを開始しています。またカザフスタンなどは、到着後 14 日間の健康観察を求める指針を保健当局から出しています。一般的な予防策としては、手指衛生、十分な換気、人混みや体調不良者との接触回避、体調不良時の自宅待機、早期の医療相談、免疫を支える健康的な生活習慣が重要です。
ー今回の流行に似た前例は?
2001 年以降、特にバングラデシュやインドで散発的だが繰り返し流行が起きています。果実食コウモリなどからの動物由来感染に加え、人 人感染や汚染食品を介した感染も見られます。
ー一般市民へのリスク
ニパウイルスの基本再生産数(R0)は通常 1 未満で、人 人感染は限定的です。そのため、広範なパンデミックに発展する可能性は低いと考えられます。
