吉田直紀 東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構 特任教授:
ー本論文に対する評価・ご意見(方法論や主張の妥当性など)
ジェームスウェッブ宇宙望遠鏡を用いた重力レンズ現象の観測により、これまでにないくらいの精度で宇宙の中の質量分布マップを明らかにした画期的論文. これまでハッブル宇宙望遠鏡やや地上大型望遠鏡では困難であったダークマターの分布の詳細や,フィラメント構造を直接可視化することができた. データ分析の手法として様々な最先端のモデルや統計学を組み合わせて,観測ノイズを抑えており,現時点で可能な宇宙の探査手法として非常に完成度が高い。 一方で、本研究は比較的狭い天域を対象としているため、今後より広い範囲の観測が不可欠である。
ー本内容に関連する日本国内の状況
日本国内においても、ダークマター分布の研究は、すばる望遠鏡を用いた観測により世界的に重要な役割を果たしている。特に、すばるHyper Suprime-Camサーベイは、 天空の数千平方度に及ぶ広大な天域を対象とした重力レンズ観測を実施しており、空間分解能ではジェームスウェッブ宇宙望遠鏡に及ばないものの、宇宙の進化を司る 「宇宙論パラメータ」の測定や大規模構造の統計的性質を理解するために重要と考えられている.
ーその他のお考え、ご意見など
ジェームスウェッブ宇宙望遠鏡を用いることでより遠くの宇宙,すなわち宇宙が若かった頃の様子もわかるようになり,今後は宇宙進化の歴史の全貌が明らかに なっていくと期待できる.
