宮﨑 悠二 京都文教大学総合社会学部 特任講師:
主要なタバコブランド6社のInstagram投稿(公式アカウントおよびタグ付けされた投稿)について、アメリカ合衆国連邦政府のポリシーとInstagramのポリシーが遵守されているかどうかを調査・分析し、コンテンツの年齢制限、健康警告表示、またステルスマーケティング規制といったルールが高頻度で違反されていることを明らかにした論文です。
Instagramは若年層に人気のあるSNSのひとつであり、広告主にとってもSNS投稿のような「広告臭の少ない製品表示」が好まれるようになっているなかで、重要な知見を提供するものです。論文内で明示されているように、調査対象として選定されたのは6ブランド(1カテゴリーあたり2ブランド)と限定的なものであり、過度な一般化はできないものの、アメリカはタバコ広告の「先進国」でもあることから、現在のタバコ広告をめぐる最新の問題を示唆するものといえるでしょう。
メディアによる影響は、短期的にすぐ効果のあらわれる影響と、中長期的に文化や価値観の次元で効果が堆積していく影響とに分けて考えることができますが、タバコを推奨するコンテンツに、若年段階から、かつ適切な情報提供の乏しい状態で接触し続けることは、中長期的な文化や価値観への潜在的影響を考えても大きな問題を抱えるものです。
また、紙巻きタバコカテゴリーのブランドは投稿数自体がかなり少ないのに対して、電子タバコやニコチンパウチといった新型製品カテゴリーは投稿数自体が多いことも注目されます。コンテンツ表示年齢制限違反のほとんどは調査対象のうち特定の電子タバコブランドによるものでした。おそらくはこうした新型のタバコ製品は健康への影響が小さいと見積もられることが多く、若年層にとっても心理的ハードルが低いことが予想されますので、適切な表示規制と情報提供の整備を進める必要があるでしょう。
