2026216
各専門家のコメントは、その時点の情報に基づいています。
SMCで扱うトピックには、科学的な論争が継続中の問題も含まれます。
新規データの発表や議論の推移によって、専門家の意見が変化することもありえます。
記事の引用は自由ですが、末尾の注意書きもご覧下さい。

【Expert Reaction-専門家コメント-】運動後にみられる脳のニューロン活性が持久力を高める可能性

運動後にみられる脳のニューロン活性が持久力を高める可能性

ペンシルバニア大学の研究者らは、マウスを用いた研究により、運動による持久力向上が筋肉だけでなく脳の変化にも依存すると報告した。マウスがトレッドミル運動を行うと、エネルギー代謝を調節する腹内側視床下部(VMH)のSF1ニューロンが活性化し、その活動は運動後も少なくとも1時間持続した。

2週間の継続的な運動後は、これらのニューロン活性はさらに高まり、マウスの走行速度と持続時間も向上した。一方、SF1ニューロンの活動を運動中または運動後に遮断すると持久力の向上は見られず、特に運動後の神経活動が重要であることが示された。

研究者らは、運動後の脳活動が、体内のグルコース利用を高め、回復を促進し、筋肉や心肺機能の発達を促す可能性がある、としている。これらの成果は、運動効果を高める新たな介入法の開発や、高齢者・リハビリ患者の運動支援につながる可能性を示している。

論文リンク: https://www.cell.com/neuron/fulltext/S0896-6273%2825%2900989-4?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS0896627325009894%3Fshowall%3Dtrue

掲載誌:Neuron

掲載日:2月12日


【専門家コメント】

北 一郎 東京都立大学人間健康科学研究科ヘルスプロモーションサイエンス学域 教授:

運動が、直接、筋や心肺機能に影響することは、一般的に理解されていると思いますが、本研究の結果(提案)は脳を介しているという点で、ちょっとしたサプライズ感をもたらしているように感じます。しかし、よく考えてみれば、代謝や各器官の調節に脳機能も関わっていることから、(間接的かもしれませんが)不思議ではないのかもしれません。2週間の運動そのもの(仮に脳を介さない場合)が持久力を向上している可能性を考えた場合、運動なしで当該脳領域を刺激すると持久力や筋力がどのように変化するのかは興味深いです。

今回、持久力を走行速度と持続時間の向上から評価しています。2週間の運動期間ということから、持久力に関連する生理学的変化(酸素運搬能力や筋線維タイプの変化など)よりむしろ神経系の適応(運動神経の使い方、中枢性疲労など)が大きい可能性もあるのかと思いました。イメージトレーニングのみで筋力低下が抑制されたという研究もあるようですので、やはりインパクトのあるトピックのように思います。

記事のご利用にあたって

マスメディア、ウェブを問わず、科学の問題を社会で議論するために継続して
メディアを利用して活動されているジャーナリストの方、本情報をぜひご利用下さい。
「サイエンス・アラート」「ホット・トピック」のコンセプトに関してはコチラをご覧下さい。

記事の更新や各種SMCからのお知らせをメール配信しています。

サイエンス・メディア・センターでは、このような情報をメールで直接お送りいたします。ご希望の方は、下記リンクからご登録ください。(登録は手動のため、反映に時間がかかります。また、上記下線条件に鑑み、広義の「ジャーナリスト」と考えられない方は、登録をお断りすることもありますが御了承下さい。ただし、今回の緊急時に際しては、このようにサイトでも全ての情報を公開していきます)【メディア関係者データベースへの登録】 http://smc-japan.org/?page_id=588

記事について

○ 私的/商業利用を問わず、記事の引用(二次利用)は自由です。ただし「ジャーナリストが社会に論を問うための情報ソース」であることを尊重してください(アフィリエイト目的の、記事丸ごとの転載などはお控え下さい)。

○ 二次利用の際にクレジットを入れて頂ける場合(任意)は、下記のいずれかの形式でお願いします:
・一般社団法人サイエンス・メディア・センター ・(社)サイエンス・メディア・センター
・(社)SMC  ・SMC-Japan.org

○ この情報は適宜訂正・更新を行います。ウェブで情報を掲載・利用する場合は、読者が最新情報を確認できるようにリンクをお願いします。

お問い合わせ先

○この記事についての問い合わせは「御意見・お問い合わせ」のフォーム、あるいは下記連絡先からお寄せ下さい:
一般社団法人 サイエンス・メディア・センター(日本) Tel/Fax: 03-3202-2514

専門家によるこの記事へのコメント

この記事に関するコメントの募集は現在行っておりません。